養命酒製造の年収はなぜこの水準?給料・勤続・働き方を読む
養命酒製造株式会社の年収や働き方のデータには、長く勤める社員が多く、ゆっくり腰を据えた経営スタイルが現れています。まずは「どんな会社か」「規模感」「年収水準」「働きやすさ」を順番に見ていきます。
養命酒製造はどんな会社?薬用酒「養命酒」と「くらすわ」の二本柱
養命酒製造株式会社は、長野県駒ヶ根市に主力工場を持つ、薬用酒「養命酒」を100年以上作り続けてきた会社です。冬になるとテレビCMで見かける、あの琥珀色の小瓶を作っているメーカー、と言えばイメージできる方も多いかもしれません。
主力商品は第2類医薬品である「薬用養命酒」で、これが売上の約8割を占めます。そのほかにクラフトジン「香の森」、ハーブのリキュール、健康茶、健康食品の「幸健生彩DX」「五養粥」などを手がけています。
近年は「くらすわ」というブランドを軸に、レストランや物販を組み合わせた体験型店舗の展開にも力を入れています。2024年10月には駒ヶ根工場の敷地内に「くらすわの森」をグランドオープンし、開業以降12万人を超える来場者を集めました。健康食品メーカーというより、「健康なくらし」を売る会社へ姿を変えようとしている、というイメージです。
養命酒製造の規模感|売上約100億円・従業員約314人の実感
養命酒製造の売上は約100億円、従業員数は約314人。上場企業のなかでは、規模としては小ぶりです。
身近な比喩でいうと、売上100億円は地方の中規模スーパーチェーン1社分くらいのスケール感。従業員314人は、ひとつの中学校の生徒数(全学年合計)に近い人数感です。1人ひとりの存在感が大きく、社長や役員の顔も覚えられるくらいの距離感の組織といえます。
ただ、創業は1923年で、2023年には創立100周年を迎えた老舗です。製造拠点の駒ヶ根工場、本店、販売拠点、開発拠点を国内に持ち、台北支店は2025年3月で閉鎖したものの、「養命酒」という1つのブランドで100年以上日本に存在し続けてきた会社です。
養命酒製造の年収はいくら?平均約557万円の実感
養命酒製造の平均年収は約557万円。日本の上場企業の平均(600万円台)からは少し下ですが、食料品業界のなかでは標準的な水準です。
家計に置き換えると、年収557万円は月の手取りでおよそ35万円前後。住宅ローンを組んでマンションを購入しつつ、毎年家族旅行に行ける、という現実的な暮らしのイメージです。平均年齢は44.8歳で、ベテラン社員が中心の人員構成になっているため、20代・30代の若手の年収水準は平均より下になる可能性が高い点には注意が必要です。
ちょっとした補足: 新卒の初任給、職種別・年代別の詳しい年収、ボーナスが何ヶ月分かといった内訳は、会社が公表している情報のなかでは確認できません。具体的な数字は、選考過程や求人サイト、口コミサイトで個別に確認するのが現実的です。
養命酒製造の働き方|勤続18.4年・男性育休0%の実態
養命酒製造の働き方を示す数字で目立つのは、平均勤続年数18.4年という長さです。日本の上場企業の平均勤続年数は12〜13年程度といわれているので、それを大きく上回ります。
新卒入社で定年近くまで勤め上げる社員が多い、いわゆる「長く居着く文化」の会社といえます。腰を据えてじっくり仕事に取り組みたい人にとっては、安心感のある環境です。
一方で、女性管理職比率は6.1%、男性育休取得率は0.0%。共働き・子育てを前提とした働き方のサポートや、女性のキャリアアップという点では、今後の改善余地が大きい数字です。役員9名のうち女性は2名で比率22%とそれなりに登用されている一方、現場の管理職レベルでの女性登用はこれからのテーマといえます。残業時間や有給取得率は、会社が公表している情報からは確認できませんでした。
養命酒製造の働き方は「ホワイト」?データから見える実像
ネット検索で「養命酒製造 ホワイト企業」というワードがよく入力されるように、社員の働きやすさは気になるポイントです。
データから推測すると、平均勤続18.4年の長さと、薬用酒という安定した主力商品を持つビジネスモデルから、急激なリストラや過酷な数字目標で社員を追い込む文化ではなさそうです。創業100年を超える老舗特有の、落ち着いたペースで仕事が進む環境がイメージできます。
ただし、男性育休取得率0%という数字は、子育て世代にとって気になる点です。データには表れない部分は、口コミサイトや面接でしっかり確認しておきたいところです。
養命酒製造の将来性と年収の見通し|「くらすわ」と駒ヶ根工場への投資
養命酒製造はいま、大きな変化のタイミングにあります。主力の「養命酒」販売が国内の人口減少と消費行動の変化で減ってきており、新たな柱を作るために「くらすわ」事業へ本格投資を進めている段階です。
養命酒製造の業績は伸びてる?落ちてる?売上微減・本業のもうけ7割減の現実
2025年3月期の売上は約100億円で、前年同期比2.2%減。本業のもうけは約1.3億円で、前年同期比72.9%減と大きく落ち込みました。最終的な利益(純利益)は約6.8億円で前年同期比28.7%減です。
利益が大きく減った理由は、体験型施設「くらすわの森」のオープンに伴う飲食原価、人件費、減価償却費の増加。攻めの投資による一時的な減益、という性格の数字です。一方で、主力の国内「養命酒」販売は前年同期比6.1%減と、物価上昇による消費行動の変化を受けて緩やかに縮小しています。
中期経営計画で掲げていた「売上200億円以上」の目標は、達成困難として2025年に取り下げられました。「養命酒」一本足から「くらすわ」を含む複数事業の会社へ移っていく、その過渡期の数字といえます。
養命酒製造の将来性|「くらすわの森」と健康ブランド構築への注力
将来の柱として養命酒製造が伸ばそうとしているのが、「くらすわ」ブランドです。2025年3月期のくらすわ関連事業の売上は約14.8億円で、前年同期比31.7%増と大きく伸びています。
2024年10月にグランドオープンした「くらすわの森」は、駒ヶ根工場の敷地内にできた体験型施設。レストラン、物販、自然のなかでの体験プログラムを組み合わせ、「すこやかなくらし」をテーマにしたブランド世界観を伝える役割を担っています。グランドオープンから12万人を超える来場者を集めており、新しい収益の柱として育てていく方針です。
通信販売では「五養粥」「幸健生彩DX」などの健康食品が堅調に売れています。中期経営計画でも、企業買収や業務提携を視野に入れたブランド強化が掲げられており、「養命酒」だけに頼らない健康関連ビジネスへ広げる動きが、今後数年の見どころです。
養命酒製造の入社前に知っておきたい3つの注意点
会社が公表している情報のなかから、入社前に押さえておきたい注意点を3つに整理します。
ひとつ目は、主力商品への依存度の高さ。売上の約8割を「養命酒」が占めており、サプリメント・健康食品・エナジードリンクとの競争激化や、暖冬による需要減の影響を受けやすい構造です。
ふたつ目は、本業のもうけ率の小ささ。本業のもうけは売上の約1.3%にとどまり、食料品業界の平均(約5.46%)を大きく下回ります。「くらすわの森」への投資による一時的な数字ではあるものの、原料生薬の海外調達価格や工場設備の維持コストの影響を受けやすい点は意識しておきたいところです。
みっつ目は、国内市場縮小のリスク。国内販売が中心で、海外売上は約3.2億円(前年同期比25.6%減)と縮小傾向。台北支店も2025年3月で閉鎖しました。中長期で見ると、国内市場が縮むなかでどう生き残るかが大きなテーマです。
養命酒製造に向く人・向かない人
新卒・転職どちらの視点で見ても、養命酒製造は「腰を据えてじっくり1つの会社で育つこと」を大事にする人と相性のいい会社です。
向いている人は、薬用酒や健康食品といった、地味だけれど長く愛される商品づくりに魅力を感じる人。長野・駒ヶ根エリアで暮らしながら働きたい人。短期間でガツガツ昇給するより、安定した雇用環境を優先したい人。「くらすわの森」のような体験型ビジネスに関心がある人にも向いています。
逆に向きにくいのは、20代で年収1,000万円超えを目指すような上昇志向の強い人、グローバル展開やデジタルプロダクトで派手に成長したい人。女性管理職比率や男性育休の数字を見て、共働き前提でキャリアを築きたい人にとっては、確認したい点が多く残る環境です。
総括:養命酒製造の年収・働き方・将来性まとめ
養命酒製造株式会社の平均年収は約557万円。上場企業平均よりやや低めですが、平均勤続年数18.4年が示すように、長く勤めることで安心して働ける環境が整った老舗の会社です。
主力の「養命酒」販売は国内人口減少の影響を受けて緩やかに縮小、本業のもうけは「くらすわの森」グランドオープンに伴う投資で大きく減少しました。一方で、新事業「くらすわ」ブランドは前年比31.7%増と伸びており、次の100年に向けた変化の途中にあります。新卒で長く育ちたい方、中途で安定したものづくりの現場に関わりたい方は、求人情報や口コミサイトで最新の働き方も確認しつつ、判断材料にしてみてください。



