イートアンドの年収はなぜこの水準?給料・勤続・働き方を読む
「大阪王将の会社で働くとはどういうことか」。給与から職場環境まで、公表データをもとに読み解いていきます。
イートアンドはどんな会社?餃子・ラーメン・ベーカリーを束ねるグループ
イートアンドホールディングスは、「大阪王将」ブランドを核に、冷凍食品と外食チェーンの2本柱で成り立つ会社です。
スーパーの冷凍コーナーで「大阪王将 羽根つき餃子」の赤いパッケージを一度は見たことがある方は多いでしょう。群馬・大阪・岡山の工場で餃子の具と皮を製造し、全国の量販店や生協に卸しているのがイートアンドです。
外食側では「大阪王将」レストランを中心に、ラーメンの「よってこや」「太陽のトマト麺」、ベーカリーカフェ「R Baker」「コシニール」、たんめん主体の中華業態「一品香」など複数ブランドを展開しています。直営110店・フランチャイズ加盟359店の計469店舗というのは、日本全国の都道府県に平均して約10店ずつ配置されている計算です。
「冷凍の大阪王将」と「街の大阪王将」が一体になって動いている会社——そのイメージが実態に近いです。
イートアンドの規模感|売上約373億円・従業員約558人の実感
グループ全体の売上は約373億円。地方の中核市ひとつの年間予算に相当するイメージです。一方で、直接雇用している従業員は約558人と、優良な地域中堅企業と同規模のコンパクトな体制です。
「大阪王将」ブランドの知名度は全国区なのに、社員数は中堅企業レベル——つまり一人ひとりが幅広い業務を担いやすい環境といえます。大企業のように細分化された役割ではなく、多岐にわたる仕事に関わりたい人にとっては魅力的な職場規模です。
財務的な体力(借金の少なさを示す割合)は約37.5%。食料品・外食を兼ねる会社としてはほぼ標準的な水準で、急激な経営悪化リスクは現状低い状態にあります。
イートアンドの年収は本当に654万円?平均年収の生活実感
イートアンドの平均年収は約654万円(平均年齢39.4歳)です。月換算すると額面約54万円、手取りで38〜40万円台の水準になります。都市部で暮らす場合、家賃を払いながら外食や貯金もある程度できるラインといえます。
上場企業全体の平均(約600万円台)とほぼ並ぶ、もしくはやや上回る水準です。食料品・外食業界の相場観で見ると、高くもなく低くもない「堅実な中間」という位置づけです。
ただし、年代別・職種別の年収データは会社が公表している情報では確認できません。製造現場スタッフと本社管理職では差があることが想定されますが、詳細は非公開です。ボーナスの支給月数や金額も同様に公表されていません。
イートアンドの働き方|育休100%・女性管理職46.7%という数字の意味
男性育休取得率100%。この数字はかなり際立っています。「制度として用意している」ではなく「全員が実際に取得している」という証拠であり、育児との両立をめぐる職場文化の成熟度を示しています。
女性管理職比率は46.7%。管理職の約半数が女性というのは、上場企業全体でもトップクラスの高さです。「女性が出世しにくい業界」という外食・食品のイメージとは異なる実態が見えます。
平均勤続年数は5.1年。上場企業の平均(約12〜13年)と比べると短めで、一定の入れ替わりがある職場です。外食・食品製造という業界の流動性も影響していると考えられますが、若いうちに他社へステップアップを考える人が一定数いる環境でもあります。
> ちょっとした補足: 残業時間・有給休暇取得率・退職金制度の詳細は、会社が公表している情報では確認できませんでした。入社を具体的に検討する段階では、会社説明会や採用担当者への質問でしっかり確認することをおすすめします。
イートアンドの評判はどう?「ホワイト寄り」か「現場は厳しい」か
データから読める範囲を整理します。育休・女性管理職の両指標が高水準にあることは、「働く人に配慮がある職場」を支持する材料です。
一方で、平均勤続年数が5.1年と短めなのは気になる点でもあります。外食・食品製造の最前線は体力的・精神的に負荷がかかる場面があることも想定されます。
「ホワイトかブラックか」を一言で決めるのは難しいですが、少なくとも育児・子育て支援の面では業界水準を大きく上回っています。現場の実態は転職口コミサービス等で補って確認するのが現実的です。
大阪王将ブランド・海外展開・原材料高——イートアンドの年収と将来性、入社判断
「この会社は5年後、10年後もしっかり存在しているか?」。業績の流れと今後の方向性を整理します。
業績は伸びてる?イートアンドの5年間の成績を見る
過去5期の売上推移を見ると、2021年度の約260億円から2025年度の約373億円まで、ほぼ右肩上がりで成長しています。コロナ禍からの外食回復と、インバウンド需要の取り込みが追い風になりました。
| 年度 | 売上(概算) | 本業のもうけ(概算) |
|------|------------|------------------|
| 2021年度 | 約260億円 | 約2.6億円 |
| 2022年度 | 約309億円 | 約8.3億円 |
| 2023年度 | 約330億円 | 約9.2億円 |
| 2024年度 | 約359億円 | 約10.6億円 |
| 2025年度 | 約373億円 | 約10.9億円 |
売上・利益ともに右肩上がりで、2年連続で上場後最高益を更新しています。
ただし、本業でのもうけになる割合は約2.9%。食料品業界の平均(約5.5%)を下回っており、「売上は伸びているのに利益が薄い」という構造的な課題が続いています。原材料費や製造コストの重さが響いています。
イートアンドはこれから何に力を入れる?大阪王将の海外展開と九州新工場
イートアンドは「2030年にグループ全体売上1,000億円」を長期目標として掲げています。現状の373億円から約2.7倍という高い目標で、具体的な手を打ち始めています。
2024年10月には台湾のセブンイレブン約6,000店で「大阪王将 肉煎餃子」の販売を開始しました。6,000店というのは、日本全国のコンビニ1チェーンに匹敵する規模感です。北米でも店舗出店を進めており、海外が次の収益軸として育ちつつあります。
国内では、2026年末に宮崎県都城市に九州新工場の操業を予定しています。埼玉県羽生市のセントラルキッチンと合わせ、東西の製造体制を整えることで年間製造量の大幅な増強を目指します。「大阪王将の餃子」が全国・全世界に広がる基盤づくりが、今まさに進行中です。
イートアンドに入社前に知っておきたい3つのリスク
会社自身がリスクとして認識している点を3つに整理します。
ひとつ目は、原材料価格の不安定さです。 主力商品の餃子に欠かせない「キャベツ」は、異常気象で価格が急騰するリスクがあります。2024年度もキャベツの価格急騰が収益に大きな影響を与えました。「野菜の相場次第で業績が揺れる会社」という現実は頭に入れておく必要があります。
ふたつ目は、大阪王将ブランドへの集中リスクです。 冷凍食品・外食の両事業で「大阪王将」が収益の中核を担っています。ブランドイメージが傷つくような問題が起きた場合、グループ全体に影響が及びやすい構造です。
みっつ目は、中期経営計画の遅れです。 「売上500億・本業のもうけ25億」という中期目標の達成期限は、すでに1年延長されています。計画どおりに事が進みにくい市場環境が続いており、数字の達成には時間がかかりそうな状況です。
> ご注意ください: 2023年12月に関東第一工場で火災が発生しましたが、2025年4月に完全復旧済みです。現時点での製造ラインは正常稼働しています。
イートアンドに向く人・向かない人
こんな人に合いそうです:
- 「大阪王将」ブランドや中華料理文化への愛着がある
- 外食・食品の両事業を経験できる環境でキャリアを積みたい
- 海外展開や新工場建設など、変化の中で働くことを前向きに捉えられる
- 女性管理職比率の高い環境でキャリアアップを目指したい
慎重に考えたい方:
- 年収800万円以上を早期に実現したい
- 「長く腰を据えて安定キャリアを積む大企業」が最優先
- 農産物価格など外部要因で業績が揺れることへの不安が大きい
新卒で入る場合は、「大阪王将が好き、食を通じた仕事に関わりたい」という具体的な共感が動機として説得力を持ちます。転職で入る場合は、希望職種での年収水準を事前に採用担当者に確認しておくのが無難です。
総括:イートアンドの年収・働き方・将来性まとめ
イートアンドの年収は約654万円で、食料品・外食業界のなかでは堅実な水準にあります。男性育休100%・女性管理職46.7%という数字は、制度として整備されているだけでなく、実態として機能していることを示す材料です。
業績は5年間右肩上がりで、上場後最高益を2年連続更新中。ただし本業のもうけの薄さと、大阪王将ブランドへの依存、キャベツをはじめとする原材料コストの不安定さは目を向けておくべき点です。台湾・北米への海外展開と九州新工場建設が計画通りに進むかが、今後のイートアンドの成長を左右する試金石になります。
入社を検討している方は、公式の採用情報で最新の募集ポジションと年収帯を確認したうえで、判断の材料としてください。



