稲葉製作所の年収・働き方の全体像|給料・勤続・育休のリアル
ここでは稲葉製作所がどんな会社で、どのくらいの規模で、どんな給料・働き方をしているのかを順番に見ていきます。物置のCMで知っている人も多いと思いますが、社員側から見るとどんな会社なのか、データで描き出していきます。
稲葉製作所はどんな会社?「100人乗っても大丈夫」を作っている会社
稲葉製作所は、1940年創業の鉄を加工してものづくりをする会社です。看板事業はふたつ。ひとつは庭やガレージで見かける鋼製物置の「イナバ物置」、もうひとつはオフィスで使う机や椅子のオフィス家具です。
イナバ物置は「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」のCMで知られ、鋼製物置の国内市場ではトップシェアを握っています。物置のほか、ガレージ「アルシア」「ガレーディア」、バイクの保管庫、自転車置場、ゴミ収集所の「ダストボックス」なども作っています。
オフィス家具では、ハイブリッドデスク「デュエナ」、オフィスチェア「スウィン」「エクセア」、サイレントブース「ヴィアルーム」など、企業のオフィスで使われる家具を一通り手がけています。一言でいえば、家の外には物置、家の中にはオフィス家具を届けている会社です。
稲葉製作所の規模感|売上約419億円・従業員約1,073人
会社の大きさを数字で見てみましょう。グループ全体の売上は約419億円、従業員数は約1,073人。地方の中堅メーカーといった規模感です。
419億円という数字は、地方都市の年間予算に匹敵するイメージです。人口5万人程度の市町村の財政規模と近く、「街の予算をひとつ動かしている会社」と思うと、規模が掴みやすいかもしれません。
工場は犬山工場(愛知県)と柏工場(千葉県)の2か所。本社機能とあわせて、開発から生産、販売までを自社グループ内で完結させる「一貫生産体制」を取っています。仕入れた鋼材を、自社の工場で曲げ、塗装し、組み立てて出荷する流れです。素材から完成品まで自前でやりきるスタイルが、稲葉製作所の特徴のひとつです。
稲葉製作所の年収はいくら?平均約635万円の実感
稲葉製作所の平均年収は約635万円です。日本の上場企業の平均が600万円台前半ですので、ほぼ同じ水準。金属製品という地味ながら堅実な業界のなかでは、標準的な位置にあります。
家計でいうと、年収635万円なら月の手取りは40万円弱ほど。住宅ローンを組みつつ、車を持ち、子どもの教育費を貯める、というモデルケースが現実的に描ける水準です。派手な高給ではないものの、地方都市で暮らせば十分にゆとりがある水準といえそうです。
ちょっとした補足:上の数字はあくまで会社全体の平均です。年代別・職種別・役職別の年収は会社が公表している情報では確認できません。20代の若手と50代の管理職では当然差がありますので、平均値はあくまで「会社全体の真ん中」のイメージとして受け取ってください。
稲葉製作所の働き方|勤続19年・男性育休47.6%は本当に多い?
働き方のデータを見ると、稲葉製作所の特徴がより鮮明になります。平均勤続年数は19.0年。これは上場企業全体の平均(15年前後)を大きく上回り、「入った人がなかなか辞めない会社」であることを示しています。
男性の育休取得率は47.6%。製造業の平均(30%前後)と比べても高めの水準で、おおよそ2人に1人の男性社員が育休を取得している計算になります。「ものづくりの現場で男性が育休を取りにくい」というイメージがある人には、少し意外な数字かもしれません。
一方で、女性管理職比率は0.0%。これは大きな課題として残ります。役員12名のうち女性は0名、管理職にも女性がほとんどいないと推察されます。長く働ける環境はあっても、女性がキャリアアップしていくロールモデルはまだ少ないと考えるのが自然です。
平均年齢は41.0歳。20代の若手より、30〜50代の中堅・ベテランが中心の会社といえそうです。
稲葉製作所はホワイト?それとも昔ながらの製造業?
データから働き方を推測してみます。勤続19年、男性育休47.6%という数字は、定着率の高さと両立支援の進み具合を示しています。少なくとも「数年で辞める人が続出する」「家庭との両立が難しい」という会社ではなさそうです。
ご注意ください:残業時間や有給取得率、年間休日数といった細かな労働条件は会社が公表している情報では確認できません。製造業の現場では繁忙期と閑散期の差が出やすいため、応募前に求人票で確認することをおすすめします。
ホワイトかブラックかの二択ではなく、「派手さはないが安定して長く働ける、伝統的な日本の製造業」と捉えるのがフェアな見方でしょう。
稲葉製作所の将来性と入社の判断材料|鋼製物置と材料価格をどう読むか
ここからは、稲葉製作所がこの先どこへ向かうのか、入社を考えるうえで気になる業績・将来性・リスクを見ていきます。鋼製物置のトップシェアという強みと、住宅着工減少という逆風、両方をフラットに整理します。
稲葉製作所の業績は伸びている?2025年7月期は減益に
直近の業績は、正直に言えば厳しい状況です。2025年7月期の売上は約419億円で前期比1.2%減。営業利益は約18億円で前期比39.1%減、純利益は約15億円で前期比36.7%減。減収減益という結果でした。
理由は大きく2つ。ひとつは住宅着工が伸び悩んでいること。物置は家の庭に置く商品ですから、新しい家が建たないと売れません。もうひとつは材料の鋼材価格が高止まりしていること。仕入れコストが上がる一方で、価格に転嫁しきれず、本業のもうけになる割合は4.5%にとどまりました。
業界平均の収益性が5.03%なので、これも下回っています。直近1年だけ見ると「数字は下を向いている時期」というのが実態です。
稲葉製作所の将来性|物置・ガレージ・オフィス家具で何に力を入れる?
逆風のなかでも、稲葉製作所は新しい手を打ち続けています。鋼製物置では、住宅以外の建築現場で使える「FORTA」シリーズ、強風に耐えるガレージ機種、居住性のある新製品「コモ・スペース」を投入。「ただ物を置くだけの物置」から、用途を広げる方向へ舵を切っています。
オフィス家具では、コロナ後のオフィス回帰の流れに乗り、サイレントブース「ヴィアルーム」など「集中して働ける空間」を提案する商品を強化。オフィス移転やリニューアル需要は引き続き堅調と会社自身も見ています。
2025年8月には、グループ会社のカトウ産業を共進が吸収合併し、販売・物流の体制をスリム化しました。地味ですが、伸び悩む時期にコストの効率化を進めるのは合理的な手です。
稲葉製作所への入社で知っておきたい3つの注意点
会社自身がリスクとして挙げているポイントを、入社視点で3つに整理します。
ひとつ目は住宅着工の減少です。日本の人口減少と空き家増加で、新築住宅は長期的に減る見通し。新築住宅の庭に物置を置く需要は、構造的に縮んでいく市場です。
ふたつ目は鋼材価格の変動です。仕入れの鋼材が高止まりすると、本業のもうけはすぐに圧迫されます。直近の減益はまさにこの影響です。価格を売価に転嫁できる力が、業績の鍵を握ります。
みっつ目は寡占市場ゆえの価格競争です。鋼製物置は競合他社との直接対決が避けられず、オフィス家具は大手との価格圧力が強い市場。「他社より高くても買ってもらえる強い商品力」を保てるかが、長期の課題です。
稲葉製作所に向く人・向かない人
新卒で入る場合、向いているのは「派手な業界より地に足のついたものづくりがしたい」「ひとつの会社で長く成長したい」と考える人。CMで知られた商品を作るやりがいと、勤続19年という定着の良さは、安定志向の人にとって大きな魅力です。
転職で入る場合は、製造現場・営業・経理など、各専門領域での即戦力ポジションが現実的でしょう。20〜40代で異業種から来る場合、年収水準は前職と比べて極端な変化はないと考えるのが妥当です。
逆に向かないのは、急成長スタートアップ的なスピード感を求める人、女性で「女性管理職のロールモデルを見て安心したい」と考える人。前者は社風と合わず、後者は現時点で参考になる事例が少ないのが実情です。
総括:稲葉製作所の年収・働き方・将来性を読み解く
最後に、稲葉製作所の年収・働き方・将来性を整理します。平均年収約635万円は上場企業の平均水準。勤続19年、男性育休47.6%という数字は、地味ながら長く働ける環境を裏付けます。一方で女性管理職0%、直近の減益、住宅着工減少という構造的な逆風は、入社前に直視しておきたい現実です。
「100人乗っても大丈夫」のCMどおり、稲葉製作所の年収・働き方は派手ではないけれど安定感が持ち味。次の一歩として、転職エージェントや就活サイトで具体的な求人条件を確認すると、自分の判断材料がさらに揃います。



