山王の年収はどう?精密プレスの会社の働き方を全部読む
山王の給料、勤続年数、男女比、育休取得率まで、会社が公表している情報の数字を順番に見ていきます。同じ業界でも会社ごとに「働きやすさ」の手触りはずいぶん違うので、まずは規模感と年収から押さえると判断しやすくなります。
山王はどんな会社?電子部品の縁の下で動くプレス加工メーカー
株式会社山王は、コネクタやスイッチに使われる電子部品の「精密プレス加工」と「金めっきなどの表面処理加工」を主力とする会社です。スマホやノートパソコンに必ず入っている小さな端子、車載センサー、産業機械の制御部品など、目立たないけれど無いと動かない部品をつくっています。
本社は東京で、グループには国内4工場のほか、フィリピンの製造子会社「Sanno Philippines Manufacturing Corporation」があります。プレスする金属の厚みは0.05ミリ、ピン間隔は0.25ミリ。髪の毛より細い精度で金属を曲げ続ける、まるでミクロン単位の刺繍のような仕事です。
街中で山王の名前を直接見かけることはほぼありませんが、スマホやテレビ、車のなかには山王が加工した部品が入っている可能性が高い、そんな立ち位置の会社です。
山王の規模感は?売上約108億円・従業員約403人で見える姿
山王の売上は約108億円、グループ全体で働く人はおよそ403人です。地方の高校1校分くらいの人数で、年間100億円を超える売上を出しているイメージになります。
電子部品の世界には1兆円規模の大企業もあるため、山王は決して巨人ではありません。ただ、コネクタ加工に絞った「専門部隊」として大手メーカーから繰り返し発注を受けるポジションを長年守っています。
工場は東北事業部(山形)、鈴川、横浜、秦野、そしてフィリピン。国内4拠点と海外1拠点で得意先の都合に合わせて分担する体制です。「数千人規模の総合電機メーカーで歯車になりたくない」「顔の見える規模感で動きたい」という方には合うサイズ感の会社です。
山王の年収はいくら?平均約476万円の実感
山王の平均年収は約476万円です。日本の上場企業の平均(600万円台)からは少し下、製造業のなかでは中位やや下の水準になります。月の手取りに直すと、おおむね25万円〜30万円台のレンジ。家計でいえば「都心の家賃は重いが、郊外なら子育てもまわせる」という暮らし向きが想像しやすい金額です。
ボーナス月数、30歳時点の年収、課長クラスの年収などの内訳は、会社が公表している情報のなかでは確認できませんでした。ただ平均年齢が41.2歳と高めなので、長く勤めて職位が上がっていけば、平均より上のゾーンに届くイメージは持ちやすい会社といえます。
ちょっとした補足:平均年収だけを業界トップ企業と比べると見劣りしますが、勤続が長い会社の数字は「ベテランの給料」が押し上げる傾向があります。山王の場合、若手のうちは平均より下でスタートし、年数とともに上がっていく形が想定できます。
山王の働き方|勤続12.5年・男性育休50%・女性管理職7%は多い?少ない?
山王の働き方を示す数字を、3つ並べて見てみます。
- 平均勤続年数:12.5年
- 男性育休取得率:50.0%
- 女性管理職比率:7.0%
勤続12.5年は、新卒で入った人がちょうど30代前半まで残っているイメージで、製造業のなかでは標準より少し長め。離職率もそこまで高くないと推測できます。
男性育休50%は、上場企業全体の平均(20%前後)と比べるとはっきり高い水準。「製造業=男性は休めない」というイメージとは違う動きが社内で起きているサインです。
一方、女性管理職比率7.0%は、政府目標の30%にはまだ距離があります。役員も男性10名・女性0名で、上のポジションは現状ほぼ男性で占められている状態。ここは「これから」のテーマです。
山王は「ホワイト」?データから推測する社風
検索では「山王 やばい」「山王 評判」のキーワードもよく見かけますが、これらの多くは別会社の「山王病院」や「山王ホテル」などに関する検索で、株式会社山王(電子部品)の口コミは多く出てきません。
そのため評判の感触はネットの口コミだけで判断しにくく、データから読むしかない状況です。データの傾向は「長く勤める人が多い・男性も育休を取っている・直近の業績は急回復」というポジティブな並び。一方で残業時間や有給取得率の数字は公表されていないため、現場の忙しさは選考の場で直接確認したいところです。
山王の年収を支える将来性は?コネクタ需要・電動化・通信に乗れるか
山王のこれからを左右するのは、得意先であるコネクタメーカーの動きと、自動車の電動化・次世代通信(5G以降)の広がり方です。直近の業績の中身と、会社自身が語る今後の方向性を見ていきます。
山王の業績は伸びてる?売上23%増・営業利益2.4倍の中身
直近1年の山王の業績は、率直にいえば「大きく回復した1年」でした。
- 売上高:108億3,000万円(前年同期比23.0%増)
- 営業利益:7.96億円(前年同期比241.7%増)
- 純利益:7.65億円(前年同期比144.8%増)
特に日本の事業は、前年に1.88億円の損失だったものが、今期は5.08億円の利益に転じています。在庫調整が長引いていた産業機械向けが回復し、自動車向けと通信向けの需要が底堅く動いたことが効きました。
ただしフィリピン側は、売上は伸びたものの原材料の値上がりで利益は前年比30%減。海外コスト次第で全体の数字が揺れる構造は残っています。
山王の将来性|車載・次世代通信・産業機器の三本柱に賭ける
山王自身が示している「これから力を入れる領域」ははっきりしています。
1. 自動車向け:電動化や運転支援に必要な精密コネクタ
2. 通信向け:5Gや次世代の高速通信に対応するコネクタ
3. 産業機器向け:工作機械や半導体製造装置に組み込む部品
設備投資もこの三本柱に集中させ、中期の目標は売上109億円・営業利益5億円。直近の数字ですでに売上目標は射程内に入っており、これから先は「利益をどこまで安定させられるか」が問われる段階です。
加えて、東北事業部では太陽光パネルと蓄電池を使って、工場で消費する電気の100%を再生可能エネルギーでまかなう取り組みを実現済み。CO2排出量を2017年比で50%削減する目標を、前倒しで達成しています。環境対応が取引先の選定にも効きはじめている時代に、武器になりやすい実績です。
山王の入社前に知っておきたい3つの注意点
会社が公表している情報から、入社前にイメージしておきたい注意点が3つあります。
ひとつ目は、得意先(コネクタメーカー)の内製化リスク。コスト削減のために加工工程を社内に取り込む動きが続いており、これが進めば外注先である山王の仕事は減る可能性があります。
ふたつ目は、為替の振れ。フィリピン子会社はドル建てで取引しているため、円高でもドル安でも数字に影響します。実際、直近もフィリピン側の利益は原材料高で30%減になりました。
みっつ目は、化学物質と土壌の管理。表面処理で使う薬品は法律の対象になっており、規制が強まれば設備を作り直すコストがかかります。土壌調査の費用が将来的に発生する可能性も会社自身が触れています。
ご注意ください:これらは「明日すぐ起きる問題」ではなく、長く付き合うテーマです。逆に言えば、これらにきちんと向き合っている会社かを面接で確かめると、現場のリアルが見えてきます。
山王に向く人・向かない人
新卒で入る人と転職で入る人、それぞれ向き不向きが分かれます。
向きそうなのは、ミクロン単位の精度を相手にコツコツ品質を上げる仕事が好きな人、地味でも自社製品が世界中のスマホや車に入っていることに誇りを持てる人、フィリピン拠点とのやり取りに抵抗がない人です。
向かないかもしれないのは、最新の華やかな消費者向け製品で名前を売りたい人、短期間で大幅な年収アップを狙いたい人、転勤や工場勤務をなるべく避けたい人。山王は派手さよりも「黙々と精度を上げる文化」が前面に出る会社です。
総括:山王の年収・働き方・将来性まとめ
山王の年収は平均約476万円。上場企業平均からは控えめですが、平均勤続12.5年・男性育休50%という腰の据わった働き方を、製造業のなかで実現している会社です。直近の業績は売上23%増・営業利益2.4倍と大きく回復し、自動車・通信・産業機器の三本柱への投資を続けています。
得意先の内製化、為替、化学物質規制という積年のテーマは抱えつつも、再生可能エネルギー100%や環境対応の実績で取引先からの信頼を厚くしている段階です。「専門加工で長く食べていきたい」「派手さより安定と職人気質を選びたい」と考える方には、検討する価値が高い会社といえます。気になった方は、転職エージェント経由で中途求人の有無を確認したり、新卒の方は会社の採用ページでインターン情報をチェックしてみてください。



