三ツ知の年収はなぜこの水準?給料・勤続・働き方を読む
三ツ知の年収「約568万円」という数字の背景には、自動車部品専業という業種特性と、中堅規模ならではの給与体系があります。数字の意味を順に読み解いていきます。
三ツ知はどんな会社?車の「縁の下の金属部品」を作るメーカー
三ツ知は、愛知県を拠点とする自動車部品の専業メーカーです。主力製品は「カスタムファスナー」と呼ばれる、自動車の動きを支える小型の金属部品です。
シートの前後スライドや背もたれの角度調整を担う「シート用部品」、窓ガラスを上下させる「ウインドウレギュレーター用部品」、ドアやトランクのロックを制御する「ロック用部品」など、乗客が普段は意識しない部分の動きを裏側から支えています。
三ツ知の製品は「見えないが、なければ車が動かない」部品ばかりです。車一台に数百〜数千個の金属部品が使われているとすると、その一角をコアの技術で担い続けているのが三ツ知です。
コア技術は「冷間鍛造」。常温で金属を型に押し当てて成形する工法で、熱を使わないぶん強度が高く、材料のロスも少ないのが特徴です。国内の本社工場・三ツ知製作所・三ツ知部品工業に加え、タイ・米国・中国・インドにも製造拠点を展開しています。
三ツ知の規模感|売上約124億円・従業員約469人の「コンパクトな国際派」
グループ全体の売上は約124億円、従業員は約469人です。
従業員約469人という規模は、ちょうど中規模の高校1校分の生徒数に近い感覚。全員の顔と名前を把握できる、小回りの利く会社規模です。それでいながら、日本・タイ・米国・中国・インドの5か国に拠点を持ち、売上の約3分の1(33.0%)を海外が占めています。「こじんまりしているのに実は国際企業」というのが三ツ知のユニークさです。
> ちょっとした補足: 売上の82.7%が自動車部品関連です。日本車の海外シェアや生産台数の動向が、三ツ知の業績に直接影響する構造になっています。
売上は前の期から5.6%減少しており、自動車業界全体での受注環境の厳しさが反映されています。
三ツ知の年収は約568万円|上場企業平均と比べると?
三ツ知の平均年収は約568万円です。日本の上場企業全体の平均(600万円台)と比べると、やや下回る水準になります。
月の手取りに換算すると、おおよそ30万円台前半から半ば。愛知県の物価水準を考えると家計として成り立つ数字ですが、住宅ローンや子どもの教育費を抱えたときにゆとりが出るかどうかは個人の生活設計次第です。
平均年齢は42.8歳。これは「在籍中の社員の平均」なので、新卒入社や20〜30代の実際の年収はこの数字より低くなるのが一般的です。年代別・職種別の年収については、会社が公表している情報では確認できません。
| 指標 | 三ツ知 | 上場企業平均 |
|------|--------|------------|
| 平均年収 | 約568万円 | 約600万円台 |
| 平均年齢 | 42.8歳 | — |
| 平均勤続年数 | 12.8年 | — |
ボーナスの支給額・支給月数や昇給のペースについても、会社が公表している情報では確認できません。
三ツ知の勤続12.8年が示すもの|「長く働く人が多い職場」の実態
平均勤続年数は12.8年です。新卒で入社した人が30代半ばを超えても在籍し続けているイメージに近く、大きく人が入れ替わる職場ではなさそうです。
転職市場では「定着率の高さ」は職場環境の安定を示すひとつの目安とされています。12年以上勤め続ける社員が平均的にいるということは、急激なリストラや職場環境の激変が起きにくい文化があると推察できます。
男性の育休取得率・女性管理職比率・平均残業時間・有給取得率については、会社が公表している情報では確認できません。
三ツ知の働き方は「安定型」?それとも変化の速い職場?
データから見えるのは、「腰を据えて長く働く人が多い、安定志向の職場」という姿です。
ただし、自動車業界は今まさに電動化・自動運転化という大きな変革の波を受けています。三ツ知の製品も、従来の内燃機関向けから電動車対応への変化を迫られる可能性があります。「毎日同じ部品を作り続ける安定感」と「技術の変化に対応し続ける必要性」が同居しているのが、今の三ツ知の職場環境と言えそうです。
平均勤続が12.8年と長い一方、業績が直近で大きく落ち込んでいる点は注目しておく必要があります。安定した社風であっても、事業環境の変化は確実に職場にも影響してきます。
三ツ知の業績と将来性|年収・入社判断の材料を整理する
三ツ知の将来性を語るうえで避けられないのが、「自動車業界の構造変化」と「業績の直近の落ち込み」です。売上・利益の実態と、会社が打ち出す成長戦略を見ながら、入社前に知っておくべき情報を整理します。
三ツ知の業績は今どんな状態?直近の数字を正直に読む
直近の期(2025年6月期)の売上は約124億円で、前の期から5.6%の減少でした。
本業のもうけ(営業利益)は約1億円で、前の期から77.1%の大幅減少。最終的な損益は1億1,700万円の赤字となりました(前の期は4億1,900万円の黒字)。
本業のもうけになる割合は約0.86%で、金属製品業界の平均5.03%と比べると大きく下回っています。
一方で、会社の財務的な体力を示す数字(自己資本が全資産に占める割合)は60.8%と高く、手元の現金も約39億円あります。財政的にすぐに立ちゆかなくなる状況ではありません。氷山のような安定した資産基盤を持ちながら、水面上の業績では荒波に揺れている、というのが現状です。
三ツ知の将来性|クイックシリーズ・水素配管・インド進出が鍵になる
三ツ知が今後力を入れると明言している領域は主に3つです。
1. 自社開発の特殊ファスナー「クイックシリーズ」の用途拡大 ― 既存の自動車向けだけでなく、新規顧客への展開を進める
2. 水素配管コネクター ― 水素エネルギー関連の製品開発に着手し、次の収益源を模索
3. インド新工場の立ち上げ ― 2025年6月に現地法人Mitsuchi India Pvt. Ltd.を設立、量産体制の確立を目指す
電動化・自動運転化が進んでも、金属の締結部品がゼロになるわけではありません。ただし、内燃機関向けの部品の需要は長期的に縮小していく見通しがあります。水素配管コネクターへの参入は、その流れへの布石と見られます。
中期的な目標として、2027年6月期に売上140億円・本業のもうけになる割合5%、2029年6月期に売上160億円・5.5%を掲げています。現状の0.86%からの回復が問われます。
三ツ知に入社前に知っておきたい3つの注意点
会社が自ら公表しているリスクをもとに、3つに整理しました。
ひとつ目は、自動車メーカーへの集中依存です。 売上の82.7%が自動車部品関連で、販売先は自動車部品の一次メーカーが中心です。日本車の海外シェアが落ちたり、得意先の生産台数が減ったりすれば、受注が直撃します。
ふたつ目は、価格引き下げ圧力です。 自動車部品業界では、完成車メーカーから「もっと安くしてほしい」という要請が毎年のように来ます。三ツ知も例外ではなく、これが利益率低迷の一因になっています。
みっつ目は、海外事業のリスクです。 タイ・米国・中国・インドに展開していますが、為替の変動、現地の政治・経済情勢の変化、人材確保の難しさなど、予測しにくいリスクが常にあります。直近は中国・米国の事業が赤字で推移しています。
> ご注意ください: これらは三ツ知が自ら開示しているリスクです。「可能性がある」という記載であり、現時点での確定的な問題を示すものではありません。
三ツ知に向く人・向かない人
向いていそうな人:
- ものづくりの現場で、長く技術を磨きながら働きたい人
- 愛知県を中心とした生活基盤を想定している人
- 自動車産業の変革期に、金属部品の技術力を武器に関わり続けたい人
- 規模が小さい分、一人ひとりの役割が大きい環境を好む人
少し慎重に考えたい人:
- 年収水準を最優先に転職を検討している人(大手メーカーや商社と比べると差が出ます)
- 業績の安定感・右肩上がりをとくに重視する人(直近は厳しい局面が続いています)
- 「今すぐ成長が見えている会社」に入りたい転職者
新卒で入るなら、冷間鍛造や金属加工の技術を軸にキャリアを積みたい理工系の学生には選択肢になります。転職で入る場合、技術系・製造系のポジションが中心と思われますが、中途採用の詳細条件は会社が公表している情報では確認できません。
総括:三ツ知の年収・業績・将来性まとめ
会社が公表している情報から見えてきた三ツ知の全体像は次のとおりです。
- 平均年収は約568万円。上場企業平均をやや下回るが、愛知県での生活には現実的な水準
- 平均勤続12.8年と社員の定着率が高く、安定志向の職場文化がある
- 財務的な体力は60.8%と高く、手元現金も約39億円あって財務は安定している
- 一方、本業のもうけになる割合は約0.86%と業界平均(5.03%)を大きく下回り、業績回復が課題
- クイックシリーズ・水素配管コネクター・インド進出と、次の成長の手を打ち始めている
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