大林組の年収・給料・働き方の全体像──1,140万円の中身を読む
大林組の年収がなぜこの水準なのか。売上・従業員規模・勤続の長さ・働き方のデータを組み合わせながら、ひとつひとつ確認していきます。
大林組はどんな会社?東京の超高層ビルから北米インフラまで
大林組は1892年創業、国内外で建築・土木・不動産・グリーンエネルギー事業を展開する総合建設会社です。「東京駅前八重洲一丁目東B地区再開発」のような国内大型プロジェクトをはじめ、北米では「ウェブコー」「MWH」、東南アジアでは「ジャヤ大林」「タイ大林」「大林シンガポール」などのグループ会社が地域に根差した工事を受注しています。
ひとつの中規模な市が動くほどのスケールで、建物とインフラを同時並行で作り続ける会社、と言えば伝わるでしょうか。グループ全体では子会社123社・関連会社29社を抱え、国内と海外で工事を常に複数動かしています。
さらに近年は、太陽光・風力・バイオマス・地熱などのクリーンエネルギー事業にも積極的に投資。「大林クリーンエナジー」などを通じて、建設会社の枠を超えた事業の幅を広げています。
大林組の規模感|売上2.6兆円・従業員17,305人はどれくらい?
大林組の売上は約2.6兆円(2025年3月期)。鳥取県の年間経済規模に近い金額を、一つの会社が毎年動かしているイメージです。国内だけでなく、海外からも大きな工事が入り続けているからこそ、この数字が成立しています。
単体従業員数は約17,305人。大きな地方都市の行政機関とその周辺を合わせたよりも多い人数が、大林組一社に集まっています。そこに100社超のグループ会社が加わると、組織の巨大さがより実感できます。
業績面では前年から大幅な改善が進んでいます。売上は前年比12.7%増、本業のもうけは前年比80.7%増の約1,434億円でした。採算性の高い工事を選んで受注する方針が、着実に数字に表れています。
大林組の年収は約1,140万円──「高い」はどれくらい高いのか
大林組の平均年収は約1,140万円(平均年齢42.4歳)。上場企業の平均が600万円台ですから、約1.8倍の開きがあります。月額に換算するとおよそ95万円、手取りベースに直すと70万円前後というイメージです。家計でいえば、住宅ローンを組みながら食費・教育費もゆとりをもって払える水準と言えます。
建設業界の大手ゼネコン(鹿島建設・清水建設・竹中工務店・大成建設など)は軒並み年収1,000万円台を記録しており、大林組もこのグループに並びます。現場監督・設計・施工管理といった技術系職種の専門性が高く評価されていることが、給与水準を押し上げている背景にあります。
年代別・職種別(事務・技術・現場監督・課長・部長・所長)の詳細な年収は、会社が公表している情報では確認できません。30歳時点の年収についても同様に非公表です。転職口コミサイト等を別途参照されることをおすすめします。
ちょっとした補足: ボーナスの詳細な支給月数も、会社が公表している情報のなかでは確認できません。業界全体としては大手ゼネコン各社がここ数年ベースアップを継続しており(日経クロステック、2026年4月報道)、給与水準の引き上げは続いています。最新の初任給・ボーナスは採用サイトや説明会で直接確認してください。
大林組の勤続年数と女性活躍──16.4年働き続ける会社の実態
大林組の平均勤続年数は16.4年。ひとつの会社で16年以上働き続ける社員が「平均」というのは、かなり長い部類に入ります。転職が当たり前の時代でも、大林組を選んだ人の多くが長くとどまっている、ということです。
「腰を据えて専門性を深めたい」と考える方にとって、これは安心感のある数字です。一方で「数年ごとに環境を変えたい」タイプの方には、やや動きにくい文化かもしれません。
女性管理職比率は6.0%。建設業という業種の特性から見れば決して低い数字ではありませんが、社会全体の目標値と比べるとまだ改善の余地があります。役員には女性が2名(役員全体の14.3%)含まれており、多様なバックグラウンドを持つ社外取締役の登用も進んでいます。
男性育休取得率については、会社が公表している情報の中では数値を確認できませんでした。育児との両立を重視する方は、採用説明会や社員座談会で直接確認することをおすすめします。
大林組は「ホワイト企業」?残業と「やばい」評判の実態
大林組は「ホワイト500」(健康経営優良法人)に認定されています。会社が公表している情報に残業時間の具体的な数値は記載がないため断定はできませんが、データから読み取れる点があります。
平均勤続年数が16.4年と長いことは、「すぐに辞めたくなる環境ではない」ことを示すひとつの目安です。ただし2024年に一部メディア(ダイヤモンド・オンライン、2024年8月)では、従業員の不満投稿が多い企業ランキングに大林組の名前が挙がったという報道も確認されています。
また2023年9月、東京駅前の建設現場で鉄骨が倒壊し、2名が死亡する重大な労働災害が発生しました。大林組はこれを重く受け止め、災害発生日の9月19日を「9.19 安全の日」と定め、グループ全体で安全文化の変革に取り組んでいます。
建設現場はどうしても体力的・精神的な負荷がかかる仕事です。「施工管理の残業時間」「サービス残業の有無」「固定残業代の扱い」については会社が公表している情報だけでは確認できないため、口コミサイトや採用説明会でリアルな声を集めることをおすすめします。
ご注意ください: 口コミサイトへの投稿は部署・時期・雇用形態によって大きく異なります。「やばい」「きつい」という声がある一方で、「安定して長く働ける」という声も見られます。公式の数字と合わせて複合的に判断してください。
大林組の年収を支える業績と将来性──建設・再開発・海外・グリーンエネルギー
業績が大幅改善しつつある今の大林組。その成長の背景と、入社前に把握しておきたいリスクをあわせて整理します。
大林組の業績は伸びている?売上・利益の最新動向
直近の会計年度(2025年3月期)で、大林組グループの売上は約2.6兆円と前年より約2,949億円増加しました。国内の大型再開発工事の進捗に加え、海外土木事業で「MWH」社をグループに組み込んだことが押し上げ要因です。
本業のもうけは前年比80.7%増と約2倍に近い水準まで拡大しています。採算性の高い工事を選んで受注するという戦略が機能した形です。会社の手元に残るお金も前年比で約94.6%増。一年でほぼ倍増という勢いです。
業界平均と比べた本業のもうけの割合は、今期の改善を経てもわずかに業界平均(6.69%)をやや下回る水準(約5.5%)にあります。ただしその改善スピードは際立っており、方向性としては着実に上向きです。
大林組が注力する3つの成長領域
大林組が現在、特に力を入れている事業は大きく3つに整理できます。
① 海外建設事業の深化
半世紀以上かけて築いた北米・東南アジア・オセアニアの現地ネットワークを活かし、グローバルでの受注拡大を目指しています。MWHのグループ化はその象徴的な一手です。
② 国内再開発・大型インフラ
東京をはじめとする主要都市での大型再開発プロジェクトは、今後10〜20年単位で続くとみられています。建設コストが高騰するなかでも、単価の高い大型案件に注力することで利益を確保する姿勢が業績を支えています。
③ グリーンエネルギー事業
太陽光・風力・バイオマス・地熱を軸に、建設とは異なる安定的な収益源の確立を目指しています。大林クリーンエナジーを中核に国内外で発電所を運営。「建設を受注して利益を出す」だけでなく、「発電所を保有して長期的に稼ぐ」という事業モデルへの移行も進めています。
大林組に入社する前に知っておきたい3つの注意点
大林組は魅力的な会社ですが、会社が公表している情報を読むと、いくつかのリスクも率直に書かれています。
ひとつ目は、建設コストと資材価格の高騰リスクです。
労働力不足や資材の調達難は建設業全体の構造的な課題です。工事コストの上昇が利益を圧迫するリスクがあり、大林組自身もこれを主要リスクのひとつに挙げています。
ふたつ目は、安全管理への課題です。
2023年9月に発生した重大事故(鉄骨倒壊・2名死亡)は、現在も対応が続いています。「安全文化の変革」をグループ全体で推進中ですが、大規模な工事現場のリスクは依然として残ります。現場で働くことを検討する場合、安全管理体制の確認は不可欠です。
みっつ目は、景気・受注環境への依存です。
建設会社の業績は、景気や企業の設備投資意欲と連動します。米国の通商政策の影響や金融市場の変動が、国内建設市場の受注環境に影響を及ぼすリスクも会社が公式に指摘しています。
大林組に向く人・向かない人
大林組は「長く、ひとつの場所で専門性を深める」タイプの働き方と相性が良い会社です。平均勤続16.4年という数字が象徴するように、スキルを積み上げながらキャリアを作るイメージです。
新卒で入社する場合は、建築・土木・設備・電気などの技術系職種が採用の中心です。文系・事務系の採用も行っていますが、採用人数・倍率の詳細は会社が公表している情報では確認できません。インターンシップについても倍率・SPI・優遇ルートの詳細は非公表です。
転職で大林組を目指す場合は、施工管理・設計・積算・営業など即戦力が求められる職種での募集が中心です。大林組の採用サイト(obayashi.co.jp)に経験者採用情報が掲載されており、転職エージェント経由の応募も一般的です。「中途採用の難易度・倍率」については会社が公表していないため、エージェントを通じた情報収集が現実的です。
一方、「数年ごとに転職しながらキャリアアップしたい」「残業は絶対ゼロ」という方には、大型建設プロジェクトを動かす大林組の仕事は合わないかもしれません。プロジェクト単位で工期が動く業種の特性上、一定の繁忙期は避けられない面があります。
総括:大林組の年収・働き方・将来性を振り返る
大林組は平均年収約1,140万円、売上約2.6兆円、平均勤続16.4年という数字が示すように、高い給与水準と安定した雇用を両立する大手建設会社です。
直近の業績は大幅に改善しており、海外事業・グリーンエネルギー・国内再開発という3つの成長領域に積極的に投資しています。一方で、建設コストの高騰・安全管理の課題・景気依存という3つのリスクも公式に認識されています。
「高給・安定・専門性を深めたい」方、「インフラや建物という形に残る仕事がしたい」方には、大林組は有力な選択肢になるはずです。転職を検討している方は、大林組の採用サイトや転職エージェントのサポートを活用しながら、自分の経験がどの職種に合うか確認してみてください。



